面接官研修とは
面接の目的は、その応募者の能力や価値観などを聞き出し、合否を判定することです。
面接のポイントは能力や価値観などが創出する「思考・行動・感情」などの情報を確認し、それをもって自社の求める人物像との合致度を判定することです。
しかし、面接の時間は限られていますので、よほど面接に慣れている場合を除き、面接中に評価すると必要な情報を収集することができずに、時間切れになることがあります。
そういったことを避けるために、まずは情報収集を第一優先考え、面接終了後に評価することをお勧めします。
しかし、情報収集といっても予め準備した質問だけでは、応募者の答え方も様々ですので、適切な情報収集は難しいと思われます。
つまり、適切な情報収集のためには、応募者の1つ1つの発言に対して、適切に追加/深堀質問を行う必要があります。
追加/深堀質問手法の基本 面接の「STARS」
そこで今回は、その追加/深堀質問手法であるSTARSをご紹介します。
STARSとは、Situation → Task → Action → Result → Self-Appraisal の頭文字をとった略語で、面接の際に深堀すべきカテゴリーです。
STARSのカテゴリーで質問することで、応募者の「思考・行動・感情」を引き出しやすくなります。
具体的な、質問内容は上記の図内を参照してください。
しかし、質問内容だけでは、その活用方法がイメージしづらいと思いますので、STARSを活用した簡単なケースでその流れをご確認ください。
STARSを活用した追加/深堀質問ケース
応募者: | 私はテニスサークルで副代表を務めていました。 | |
---|---|---|
Situation | 面接官: | 何人くらいのサークルで、副代表としてどのような活動をしていたのですか? |
応募者: | 20名のサークルで、私は、主にサークル活動の方向付けと、代表とメンバーとの間の意見調整をしていました。 | |
Task | 面接官: | "サークル活動の方向付け"とは、具体的にどのようなものなのですか? |
応募者: | 本格的にやりたい経験者から全くの初心者まで、様々なメンバーがいたため、どのような方向を目指すべきかを明確にしなくてはなりませんでした。 | |
Action | 面接官: | なるほど。では、それに対してどういう行動をとられましたか? |
応募者: | まず、代表が考えていた活動計画をベースにヒアリングシートを作成し、全てのメンバーから意見を収集しました。 | |
Result | 面接官: | その結果、サークル活動の方向付けという目的は達成されましたか? |
応募者: | はい。何をやっていいのか悩んでいた代表が、具体的な活動計画を立て、メンバーに発信できるようになりました。 | |
Self-Appraisal | 面接官: | ご自身ではその成果をどのように評価していますか? |
応募者: | 調整役として計画を立てるまでの手伝いが出来たとは思いますが、もう少し自分自身の想いも周囲に伝えられればよかったと思います。 |
※本事例は、STARSの流れについて理解するためのもので、更に深堀することが可能な箇所もございます。
大切なのは情報を集めることではなく、一連の応募者の発言を通して、面接官がその応募者の「思考・行動・感情」の情報を収集して、その応募者はその経験を通して「何を基準とし」「どの様に考え」「結果を自分自身でどう評価しているのか」を知ることです。
表面上の事象にとらわれることなく、その応募者の本質に迫る質問を投げかけてください。
深堀質問のワンポイントテクニック「リフレーム」
「STARS」のカテゴリーで質問を深堀していくと、自然と『Why・How』をよく使うこととなりますが、それだけでは「なぜ?どうして?」という攻撃的な質問となり、結果的に応募者を委縮させてしまい、十分な情報収集ができなくなる可能性があります。
そういった時は応募者の状況に応じて、「リフレーム」を活用してみてください。
「リフレーム」とは、その状況に再度立ち返ってもらったり、周囲の視点を意識させてみたり、事象の焦点をより詳細にしたり・幅広くしたり、焦点自体を変えてみたりすることです。
具体的な例としては、
- 「もし、もう一度やれるとしたら次はどのような工夫をしますか?」
- 「周囲の人たちからはどのように見えていたと思いますか?」
- 「ではその中で一番大切なものは何ですか?」
- 「その原因を3つ挙げるとしたら何になりますか?」
- 「AがBだったということは、Cはどうなると思いますか?」
などとなります。
その他の面接での注意ポイント
面接では質問方法の他にも注意しなければならないことがあります。
その中の1つに、「質問タブー7カ条」があります。
これは、面接では仕事に関係のない差別的なことは聞いてはいけないということです。
つまり、基本的人権や法律で保護されていることや、本人の努力や意志では変えられないことは仕事とは関係のない事項として取り扱われており、面接で聞くべき内容ではないとされています。
項目 | 理由 | 質問例 |
---|---|---|
本籍 | 本籍や住所は選考に無関係であり、また同和関係者や在日外国人への就職差別の歴史的経緯があるため。 |
|
家族状況 | 本人の努力によって解決できない問題を採否の基準とすることになりかねないため。 |
|
家庭環境 |
|
|
思想・信条 | 信教の自由、思想・信条の自由などは、憲法で保障されている個人の権利。これらを採用選考に持ち込むことは、慎まなければならないため。 |
|
男女差別 | 男女雇用機会均等法により、採用に関して男女差別を行うことは禁止されているため。 |
|
障がい者差別 | 障がい者という社会的身分によって差別を行うことは、憲法及び労働基準法により禁止されているため。 |
|
他の差別 | 憲法及び労働基準法により、国籍や社会的身分による差別は禁止されているため。 |
|
質問タブー7カ条の他、面接で注意しなければならないことは、
- 圧迫面接
- パワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- ハロー効果などの評価誤差
などがあります。
また、面接を行う上で身に付けたほうが良いテクニックとしては、
- 進行テクニック(アイスブレイク、ヒアリング手法など)
- 動機形成手法
などがあります。
面接官研修全般についてご興味のある方は、当社担当者までお問合せください。