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アラタナ人事

アラタナ人事

  • 前編
  • 西村 創一朗

    株式会社HARES
    代表取締役 HRコンサルタント/複業研究家

  • 樋口 新

    レジェンダ・コーポレーション株式会社
    採用支援事業部 部長

企業と個人がハッピーになる~組織にイノベーションを起こす複業を提案!~

取材日: 2018/09/03

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IT企業やベンチャーのみならず、大手企業が「複業解禁」に向けた取り組みを進めている。AI時代の到来で、働き方が大きく変わろうとしている今、企業や個人は仕事とどう向き合うべきなのか。自らもパラレルキャリアの実践者として、副業・複業の支援に取り組む西村創一朗氏に、「二兎を追って二兎を得る」という未来をみすえた新しい働き方についてお話をうかがった。

※西村氏の「フクギョウというのは、サブの副業ではなく、パラレルという意味の複業だ」というお考えに基づき、副業ではなく複業と表現しております。

西村 創一朗

  • 株式会社HARES代表取締役 HRコンサルタント/複業研究家
    西村 創一朗氏

大学在籍中に結婚し、19歳で長男が誕生。学生パパとなり、その後、NPO法人ファザーリングジャパンの最年少理事を務める。大学卒業後、新卒で株式会社リクルートキャリアに入社。法人営業、新規事業企画、採用担当を経て、本業の傍ら「二兎を追って二兎を得られる世の中をつくる」をビジョンに掲げた株式会社HARESを設立。第三子となる長女の誕生を機に2017年に独立。HRコンサルタントとして講演、執筆活動のほか、複業研究家として、政府と共に複業解禁の推進活動を行なう。

樋口 新

  • レジェンダ・コーポレーション株式会社 採用支援事業部
    部長 樋口 新

大学卒業後、新卒で大手流通企業(CVS)に入社。店長経験の後、スーパーバイザーとして神奈川県下のメインエリアを統括、計80店舗の業務改革、売上UPに貢献する。5年後、レジェンダ・コーポレーション株式会社へ入社。以降、一貫して企業の採用活動支援を行う。顧客企業の業界は多岐に渡り、採用戦略・施策設計、セミナー設計・運営、面接代行、バックオフィス運用まで幅広く担当。年間3000名規模の新卒採用、エージェントを利用しない中途採用、SNS広告によるパートアルバイト採用等、難易度の高い採用のプロジェクトマネジャーを歴任後、部長に就任。データに基づいて採用活動の効率化・最適化を目指す、人事データ分析サービス「データインサイト-R」を開発し各企業へ提供している。

複業を通じて理想のキャリアを実現する

  • 樋口
  • 西村さんが「複業」「働き方改革」ということをご自身の生業として大事にされている背景をまずお伺いしたいと思います。

  • 西村
  • はい。それは、自分自身の体験によるところが大きいと思います。僕は就活をしていた2009年当時すでに1歳の子供の父親でした。その子に今よりもいい日本にしてバトンを渡すということを考えたとき、日本のボトルネックは働き方だと思ったんです。だから、「日本の働き方を変える事業を創りたい」という思いでリクルートキャリアに入社しました。入社後は営業部に配属され、当初は営業として成果を出すことに全力を注いでいましたが、就活当時からいつかは新規事業開発に挑戦したいと想っていたこともあり、次第に新規事業開発の部門に異動をしたい、という想いが募っていきました。当時は、まだ複業という働き方は一般的ではありませんでしたが、会社は会社で営業マンとして成果を出しながら、他方で、会社外で事業開発をするトレーニングをしようとブログメディアを始めました。人生の行動指針のひとつである「Now or Never」(今やるか、一生やらないか)というメディア名に決めて、話題のWebアプリだとかWebサービスなどの情報を発信しました。ブログをはじめて3ヶ月目に月間10万PVを達成し、結果的にブログがきっかけで会社の新規事業担当者と知り合うことになったのです。その翌年、入社4年目のタイミングで新規事業開発に進むことができ、僕は、複業を通じて理想のキャリアを実現することができたのです。

  • 樋口
  • 複業と本業とのバランスは?

  • 西村
  • 僕が複業家に送る5カ条というのがあって、その4カ条目が自己管理です。しっかりセルフマネージメントして、本業に支障をきたさないようにするという意味合いです。最低限のラインとして睡眠時間を削っての複業は絶対にダメ。ちゃんと食べてちゃんと寝るというのがすごく大事です。

    【複業五カ条】

    1.先義公利 2. 本業専念 3. 公明正大 4. 自己管理 5. 他者配慮

「石の上にも3年」はもはや古い

  • 樋口
  • 今、若者たちの就労観、価値観が大きく変わってきています。その中で複業はどのような位置づけになるのでしょう。

  • 西村
  • 僕の時代は、学生時代に熱中していたことは就職を機に卒業して、社会人になったらまるで別人に生まれ変わったかのように会社人としての自分を全うしていました。今は「学生時代にやっていたことをなぜ辞めないといけないのか」「好きだからやりたい」が前提としてあり、新卒1年目から複業をするパターンが増えています。他方で、ずいぶん前から明らかになっていた「終身雇用制度なんて幻想である」という現実を彼らもわかっています。だから、入った会社が自分とフィットしなくても、石の上にも3年という考え方はしていませんね。

企業にとって「複業解禁」の最大のメリットは?

  • 樋口
  • 今、複業に対して検討段階という企業は、何に躊躇しているのでしょう。

  • 西村
  • 企業側の状況を端的に言うと「開国前夜の江戸幕府状態」です。かつてないことが起ころうとしている。つまり今まで縛り付けることでマネジメントしてきた人を自由にしてしまったら、問題が起きてしまうのではと。鎖国をしていた江戸幕府が開国した瞬間に、外国から侵略されてしまうのではないかという恐れから尊王攘夷運動が起きたのとほぼ同じようなことです。解禁してしまったら何が起こるかわからないという不安が先行しています。

  • 樋口
  • 企業が複業解禁に踏み込む、一番の狙いはどこにあると思われますか?

  • 西村
  • 会社によって重み付けは違いますが、複業解禁のメリットは、大きくわけて3つあります。

    一つが人材開発。複業というのは、社内ではできない経験が社外でできます。基本的に自らの意志に基づいてやりたいことをやるのですから、必要とあらば、自ら学ばなければなりません。それが複業の本質だと思います。僕は、「複業の本質はお小遣い稼ぎではない」と言い切っています。管理職向けの研修などでは、「副業=ただのお小遣い稼ぎと複業は違う」という認識を改めるところから始めましょうとお話しています。

    二つ目は、経営資源の多様性です。イノベーションは既存の物と新しい物の組み合わせで起こるものです。社員の多くが会社と自宅を往復する毎日からは、構造的にイノベーションは起こりにくいと言えます。複業を通じて出会った人をプロジェクトチームの一員として、業務委託ベースでパートナーとして迎え入れるといったことも当然あるでしょう。そういったことが有機的につながって、経営の多様性が生まれます。

    三つ目は、人材確保です。転職マーケットの中では、「複業ができる会社に転職したい」と動いている方が相当数います。ビジネスパーソンの88%が複業に興味があると言っているご時世です。また、離職防止にもつながっています。これまでは辞めるか、留まるかの二択しかなかったところに、第三の選択肢として、「会社を辞めずに複業をしてはどうですか?」と提案ができます。実際に、複業でガス抜きができ、本業により専念できるといったケースもあります。

  • 樋口
  • 複業解禁を進めるにあたって、企業が気をつけなければならない点は?

  • 西村
  • 制度を導入するなら管理職のマインドを変えていかないと難しいですね。変わらないままでは上司のしかめっ面を回避するため、こっそり複業となりかねません。複業解禁にあたって「こういう複業はダメだよ」とちゃんとステイトメントするほうが、ガバナンス的にはリスクを抑えられます。

  • 樋口
  • 実際に複業制度を導入するというとき、トップダウンでスタートすることが多いのでしょうか?それともボトムアップから?

  • 西村
  • 現時点では、ボトムアップよりはトップダウンですね。たとえば、サポートさせていただいたJR東日本グループのJR東日本都市開発株式会社は、グループに先駆けて複業解禁を推し進めてきました。これは出口社長 が「やる」と言って進められてきたお話です。

    ボトムアップの動きがあっても、管理職のマインドが古いままだと「何を言っているんだ」と一蹴されてしまうんですね。例外的に、ベンチャー企業などの小規模な会社でボトムアップに近い形でスタートしたケースもあります。採用や離職防止のために複業制度を導入することが小さい会社ほど柔軟です。

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