採用コラム

障害者雇用促進の義務と法廷雇用率~相互理解が大切

障がい者雇用の成否は、「相互理解の職場環境」

6月1日は、自社の障がい者雇用状況を厚生労働省へ報告する「障がい者雇用状況報告」の算定日でした。

障がい者雇用は、「障がい者の雇用の促進等に関する法律」で企業に課せられた義務であり、この法律にある法定雇用率とは、企業が最低限雇用しなければならない障がい者数の基準になります。先日、その法定雇用率を2013年4月以降、現行の1.8%から2.0%に引き上げることを厚生労働省が検討中という報道(2012年5月23日付読売新聞)がありました。

障がい者雇用に関わる人事の方にとっては、つい法定雇用率の採用達成が気になりますが、採用数だけに目を向けていては長期的にはうまくいきません。

私は全国各地の特例子会社等にお伺いしたことがあります。その経験から、社内の合意の上に障がい者が快く受け入れられ、彼らの力を発揮できる環境と実績を会社全体で協力していかなければ障がい者雇用の成功はありえないと思います。

障がい者の採用は、応募が多くないことや適性を見極めるためのトライアル雇用を行うなど、健常者以上に手間も時間もコストもかかります。だからこそ、一緒に働いてもらうことになった障がい者の方には、長く在籍し、その能力を大いに発揮してもらいたいものです。

しかし、配属後しばらく経つと、採用時にはわからなかった課題が出てくることは日常茶飯事です。その対処がうまくいかないことが何度も続くと、障がい者が定着せず、補充のため採用活動を通年で行わねばならない一方、職場からは「仕事がうまくいかなくなるから障がい者と一緒に働きたくない」と拒絶され、障がい者ができる仕事が作れず、結局、採用自体が難しくなることもありえるのです。

では、どうしたら障がい者が職場に受け入れられ、彼らが持つ力を十分に発揮できるようになるのでしょうか?

そのポイントは「相互理解」と考えます。

人は背景がわからない事象に対しては、どう対処すればよいかわからず、ただストレスが募るものです。少しでも背景を理解できれば、人は考えてその問題に対処する方法を見つけ出すこともでき、ストレスも軽減できます。

健常者が障がい者と共に働く時も同様です。社員として互いに仕事で成果を残して貢献してゆくために、その障がい者の個性を知れば、互いの意思疎通や支援がしやすくて、彼らも能力を発揮でき、うまく仕事が回るようになります。そのためには、採用や研修の段階から人事部門が核となり、障がいについての一般的な知識の提供だけでなく、障がい者の社員の個々の状況について本人や関係者の同意を得たうえで、職場へ積極的に情報を卸していく必要があるでしょう。

例えば、東京駅には、聴覚障がい者が接客するお菓子店があります。このお店には看板に「耳の聞こえないスタッフが対応している」と大きく明記しており、多くのお客様はどうすればうまくいくか一緒に考えてくれ、筆談や身振り手振りで注文を確認するなど、互いが協力しています。もし、看板がなければ、クレームが発生することは想像に難くないでしょう。

このように他人同士でも「相互理解」が一歩進むことで、お互いが気持ちよく仕事できる環境が自然と作り出せます。

職場においても同様で、某上場企業では、大半の部門に障がい者を配置しています。人事が中核となり定期的に情報交換やフォローをすることで、部門内の「相互理解」を進め、障がい者の社員も仕事で実績を挙げられるように環境を整えています。新たに課題が出てきた場合は、障がい者の社員本人と人事と職場が一緒になって最適な答えを見つけて実践することで、障がい者はもちろん健常者の方も課題を乗り越えられるとわかり、共に働く自信がつきます。そして、これを続けてゆくことで、障がい者と一緒に働くのが当たり前という社風が出来上がったそうです。

このように「相互理解」を深め、協力してお互いが心地よく働ける職場環境ができ、障がい者の方が持つ力を発揮しやすくできれば、障がい者雇用を拡大させてゆくのは容易になるでしょう。

ぜひこの機会に自社の障がい者雇用を見直してみてはいかがでしょうか?

採用支援事業部 K.Y

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