労務コラム

次世代法改正から考える子育て世代の女性活用と制度

子育て世代の女性が活躍する組織をめざして

少子・高齢化が進む中、日本企業にとって女性の活用は、労働力を確保するための必要不可欠な課題となってきました。平成24年の厚生労働省「労働人口の見通し」雇用政策研究会報告書によると、経済成長と労働参加が適切に進まない場合、2030年には2010年と比較して就労者数が845万人減少するというシミュレーション結果が出ています。
労働人口の未来を見据え、女性活用を積極的に進める企業が出てきた一方で、女性活用が進まない企業が依然として多いのも確かです。
そこで今回は、今年4月に女性活用の指針の一つとも言える法改正がありましたのでご紹介するとともに、各企業どのような姿勢で女性活用に取り組んだら良いかを考えていきます。

「次世代育成支援対策推進法(次世代法)」の延長と改正

(1)「次世代法」の有効期限が平成37年3月31日まで10年間延長

「次世代法」は我が国の急速な少子化の進行を踏まえ、仕事と子育てを両立できる環境を整備するため、国・地方公共団体・事業主による行動計画を推進する目的で10年間の時限立法でスタートしました。各社の行動計画の作成や提出は進み、環境は徐々に整ってきたものの、制度の周知や定着にはまだまだ課題が残ります。
今回10年間期間が延長されることになり、従業員数101人以上の企業は、引きつづき労働者の仕事と子育ての両立のための一般事業主行動計画を策定し、届出、一般への公表と従業員への周知が義務づけられました。

(2)新たな認定(特例認定)制度の創設

平成27年4月より、行動計画の策定・目標の達成などの基準を満たした企業には、「くるみんマーク」が付与されますが、認定を受けた企業のうち、特に次世代育成支援対策の実施状況が優良な企業に対しては、「プラチナくるみんマーク」が付与されるようになります。「プラチナくるみん」の認定は、通常の「くるみん認定」を受けたことのある企業が、更に一歩進んだ取り組みを行った場合に付与されます。
具体的には下記のような取り組みが条件に加えられます。(従業員300人以下の企業には特例あり)(※参照1)

  • 男性労働者の育児休業が一定基準をクリアしている
  • 労働時間削減のための措置が講じられ、目標を達成し、かつ一定基準をクリアしている
  • 出産した女性労働者の定着率が一定基準をクリアしている
  • 能力向上やキャリア形成の支援のための取り組みを行っている

特例認定を受けた企業は、行動計画の策定・届出に代わり、次世代育成支援対策の実施状況が公表されます。

「くるみん認定」は、女性活用を進める良い目安になりますので、こうした法改正をきっかけに認定取得を目指すことをお勧めいたします。

「使える制度」にするために

さて、制度の充実はもちろんですが、定期的に利用率や利用者の意見を聞き、「使えない制度」になっていないかをチェックすることも必要です。当社のクライアントでも、在宅勤務制度や管理職登用制度などを導入しているお客様はいらっしゃいますが、子育て世代の働く女性からはこんな声があがってくるそうです。

  • 「在宅勤務制度はあるが、介護や看護と利用できるシチュエーションは限られており、利用しにくい。もっと気軽に利用できたらいいのに。」
  • 「時間有休が取得できると、子供の送り迎えなどがもっと柔軟に対応できるのに。」
  • 「労働時間が短く設定される分、給与や賞与が時間按分で減ってしまう。」
  • 「短時間の中で効率よく働きパフォーマンスを上げていることをむしろ評価して欲しいのだが。」

これらの声を読んでいると、制度の改定や新しい制度の導入など、対応することは山ほどあるように見えるかもしれませんが、できることから取り組んでいくという姿勢があるだけで、女性社員の安心につながります。

より客観的な視点で自社の取組状況を確認するには、厚生労働省が提供する「両立支援のひろば」(※参照2)が役立ちます。一般事業主の行動計画が公表されており、同業他社の動向や、取り組みに積極的な企業の事例を検索・参照することができます。また、「両立診断サイト」では、自社の取り組み状況画面(※参照3)から回答すると、全社・産業・規模・地域別での自社の位置付けや、分野ごとの評価、診断コメントなどの診断結果を得ることができますので、一度チェックされてみてはいかがでしょうか。

会社が女性の活用に積極的であると認識されることは、従業員全般のモチベーションを高めることにつながります。女性社員の声を聞き、できることから取り組まれることをお勧めいたします。

参照1: 改正「くるみん認定基準」及び「プラチナくるみん認定基準」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/kurumin_20141202.pdf

参照2: 両立支援のひろば
http://www.ryouritsu.jp/hiroba/search_int.php

参照3: 自社の取り組み状況を診断する「両立診断サイト」
https://www.ryouritsu.jp/ryouritsushihyou/

人事・労務支援事業部 リーダー Y.K

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