全国の人事パーソンへのメッセージ
Vol034想い切りトーク
掲載日: 2025年1月24日
※会社名・役職等は取材当時の名称を掲載しております。
社会インフラを支えるITソリューションを提供する日鉄ソリューションズ株式会社。次世代SIモデル、アセット活用モデル、プラットフォーム提供モデル という3つの新しいビジネスモデルの展開に向け、人材戦略の刷新に取り組んでいる。2024年 4月に人事本部長に就任した井東久也氏に、組織変革の要となる人材マネジメントの考え方と実践について伺った。
1989年に新日本製鐵に入社し、多角経営の一環として始まったエレクトロニクス・情報通信事業部に配属となりました。入社5年目から人事部門に異動し、以来16年間にわたって人事の仕事に従事してきました。その後は、事業部の総括部長、人事部長、経営企画部長、官公庁向け事業の事業部長 などを歴任し、2024 年4月から現職の人事本部長を務めています。
鉄鋼業を選んだ理由は、社会になくてはならない素材を作る仕事だと考えたからです。街を見渡せば、ビルも道路も自動車も、すべてに鉄が使われています。そうした社会を支える事業かつ、その素材のトップメーカーであることに惹かれました。また、先輩たちの人間性の大きさにも魅力を感じていたことも弊社に入社した理由の一つです。
私自身、情報通信の分野に興味がありました。当時は円高不況の影響もあり、会社は多角化経営を進めていて、エレクトロニクス・情報通信事業と、現在の日鉄エンジニアリングのようなプラント事業など が展開されていました。社会の基盤を作る企業として、鉄鋼事業を基軸としながら、時代のニーズに応じてITの世界にも進出していく。私はそのような会社の在り方に共感していたので 、情報通信部門への配属は希望通りでした。
生産設備を持たない弊社にとって、価値を生み出すのは「人」しかありません。どうすれば社員が最大限パフォーマンスを発揮できるか、それをどのように組織としてのパフォーマンスに繋げていくか、すべての根源は人にあります。
昔は「労務費はコストである」という考え方もありましたが、現代では「人への投資」という視点が重要になっています。組織の能力は、人のクオリティの高さと数で決まるため、これをいかに高めていくか、そのために必要な投資をどう行うか。それらのバランスを考え実行していくのが人事の醍醐味だと考えています。
弊社は2030年に向け、目指す姿として「NSSOL 2030ビジョン 」を掲げ、三つのビジネスモデルの転換を進めています。一つ目は、「次世代SIモデル」として、AIなどを活用してより高効率な開発プロセスを実現し、飛躍的な生産性の向上を図ること。二つ目は、「アセット活用モデル」として、弊社がこれまで培ってきた知見や技術をアセットとして蓄積し、ソリューションやサービス化することで、お客様にベストプラクティスを早く提供するもの。そして、最後が「プラットフォーム提供モデル」として、次世代SIモデル、アセット活用モデルで蓄積した自社アセットやソリューションを組み合わせ、社会や業界をまたぐ横断的な課題の解決につながるプラットフォームを提供し、それをベースとして様々なサービスを展開していくというものです。
これまでは、お客様の要望を丁寧に聞き取り、それを確実に実現することに注力してきました。しかし、これからはマーケットが何を求めているかを見極め、私たちから新しい価値を提案していくことも必要です。そのためには、社員の思考や行動様式を変えていかなければなりません。
新しいビジネスモデルを推進していくためには、人材面でも新たなアプローチが必要です。従来の採用は、必要なスキルや経験を持った人材を採用するというものでした。しかし今後は、ゼロから事業を作り上げていく経験を持つ人材や、新しいものを生み出していける人材の採用も強化していきます。
同時に、既存の社員に対しても新しい経験を積んでもらいたいと考えています。そのためには、会社の仕組みを変え、新しいことに挑戦しやすい環境を整備することが重要です。これまではプロジェクトの受注・安定的な構築・運用などの「結果」と「結果につながるプロセス」 を重視してきましたが、これからは新しい領域を切り拓いていく「過程」を評価していくことが大切です。
組織変革の中核に据えているのは、社員のエンゲージメント向上です。そのために定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、社員の働きがいに影響を与える要因を分析・改善することで、組織全体の活性化を図っています。サーベイでは特に「働きがい」に着目し、それを高める要素を特定。その結果を基に、社員が安心して新しいことにチャレンジできる環境づくりを推進しています。事業がうまくいくためには、社員がストレスを感じることなく、やる気を持って仕事に取り組めることが重要です。そのために、心理的安全性を確保しながら、健康で活力ある職場環境の構築に注力しています。
企業の中で人事がどうあるべきかを常に考え、組織全体のパフォーマンスを最大化することが重要です。私はかつて、人事制度を作って運用することが会社の安定に繋がっていくと考えていましたが、人事の役割はそれだけではありません。人事は企業の中にあって、その事業に携わる人々との関係の中で意味を持ちます。企業の価値や方向性を理解し、経営陣と現場をつなぐ存在として、組織全体の成長を導いていく役割が求められるように感じています。
製造設備を持つ企業でも、新しい装置や商品を生み出すのは結局のところ「人」です。より良い社会を作っていく上で、企業が社会に価値を提供していくためには、人材のパフォーマンスを最大化することがなによりも大切となるでしょう。
まず、事業の価値を深く理解していただきたいと思います。弊社の場合、例えば官公庁向けのOA基盤は国家の重要な機能を支えていて、金融機関向けのシステムも、経済活動に直結する重要な役割を担っています。このように、自社の事業がどのような社会的価値を生み出しているのかを理解することが、人事戦略を考える上での出発点となります。
また、自分の価値観と仕事の関係性についても、じっくりと考えていただきたいと思います。私自身が学生時代に吹奏楽をやっていたので、よく吹奏楽で例えるのですが、人はそれぞれ異なる価値観を持っていて、華やかなソロを担当したい人もいれば、低音楽器で全体を支えたい人もいます。同じように、仕事においても、自分がどのような立ち位置で価値を生み出していきたいのか、自分の志向性を理解することが重要です。その上で、組織の中で自分らしく貢献できる場所を見つけていってほしいと思います。
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