全国の人事パーソンへのメッセージ
Vol017想い切りトーク
取材日: 2016年9月1日
※会社名・役職等は取材当時の名称を掲載しております。
明治6年大倉組商会として創業、土木・建築を同時に表す新語として「建設」をはじめて社名に使用したという大成建設株式会社。古くは鹿鳴館、青函トンネルや東京都第一本庁舎、ボスポラス海峡横断鉄道トンネルなど、「地図に残る仕事。」を国内外で手掛けてきた大手ゼネコンだ。2014年、人事部長に就任した金馬弘明氏が語る熱い“想い”とは。
「一昨年に人事部長に配属されたときは、何を期待されているのか、正直不可解でした。私は人事に関しては素人ですし、定年を間近に控えたこのタイミングで何故?と(笑)」
金馬氏はバブル景気直前の1982年に新卒で入社、激動の時代を管理畑一筋に歩んできた。
「大阪支店(現関西支店)の総務に配属されて、ひと通り総務や経理などの内勤を経験してから事務担当者として作業所に入りました。当社の本業は土木建築業なので事務社員であっても作業所が基本です。作業所では事務管理全般と、たとえば騒音や振動のクレームやトラブルにも対応します。私の最初の現場は京都の地下鉄を一区間延長する工事でした。」
1929年、当時の専務が建設業に携わる者の心構えとすべきことを詠み込んだ「工場十訓」。
今でも執務室内や作業所に掲げられている。
その後、関西や関東の幾多の作業所を経て、支店の管理室長などを歴任。本社の企画管理部長として調達本部の立ち上げに奔走していた2009年。
「妻が急死しました。朝、いつものように『行ってきます』と出かけて、倒れた翌日には亡くなってしまった。さようならも言えなかった。しばらくは腑抜けの状態でした。家の中のことは妻まかせで、わからないことだらけ。口座の暗証番号すら知らなかった。あまりにも私はワークばかりで、ライフを見ていなかった。」
一変した生活と見えていなかったものへの気付き。それは“家族との時間の大切さ”。自分と同じような人間をつくってはいけない。そしてこの時、大成建設での人と人との繋がりを実感する。「妻が亡くなったあと家でひとりになったとき、ある先輩が電話をかけてくれた。大丈夫かって。涙が出ましたね。こういうフォロワーが本当のフォロワーで、そういうことを私が今やらなければいけない。」
「私は人事に関しては素人ですが『社員を守る、そしてその家族も守る』ことへの想いは、誰よりも強い。やらなければおさまらないというか、最後の使命、そしてライフワークだと思っています。」
「社員を守り、社員の家族を守る」。そのために金馬氏はまず、長時間労働の是正と、休日・休暇の取得促進に取り組んだ。
「皆、好き好んで長時間労働しているわけではありません。ただ、部下が早く帰りたくても上司がそう思っていないと部下は帰りにくい。社員と家族が一緒にいることの重要性がいまひとつ理解されていない面もあり、昨年は全支店をまわって、支店長はじめ幹部全員に、直接お願いをしました。問題の本質を追及していくと、上司への教育が必要だったのです。」
施策としては、年間100日以上の休日・休暇の確保、年間通じ毎月100時間以内の健康管理残業時間の達成、節目休暇の取得率100%を目指す「トリプル100」を実施、さらに今年7月からは、建設業界初の男性の育児休暇取得率100%を目指す取り組みを展開している。
「育児休業に関しては、女性のケアをするのは当然ながら、男性が育児に参加するのが当たり前の会社にしていくことが大切なので、セミナーを行いながら姿勢を伝えています。男性の育児参画意識醸成のため『パパ通信』を社内イントラ上に掲載するなど、多方面からアプローチしています。」
また建設業というと女性とは縁遠い世界の気がするが、女性活躍にも力を注いでいる。
「施工管理、作業所への配属を希望して入社してくる理工系の女性が、この10年で10倍に増えています。出産や子育てといった転機を迎えても、働き続けてもらえる環境や仕組みの提供はもちろん、家庭の事情で止むを得ず一度退職されたとしてもいつでも戻ってきていいですよと、ジョブリターンなど間口を広げることをはじめています。」
いくつもの人事施策を手掛ける中に、金馬氏ならではの想いを感じるのが人財育成だ。
「当社はOJTが基本で、やりながら覚えていくという風土がある。先輩が後輩に成功体験失敗体験を繰り返し教えたり、部下をどうやってかわいがって面倒をみるかとか、個人的に興味関心を持って育てていくこと。そこに私は人間くさく携わっていきたい。若い世代をどう育てるかはこれからの課題でもあります。」
大成建設のグループ理念は「人がいきいきとする環境を創造する」というものだ。
「この理念は人事業務そのものです。人事というのは、社員と経営と社会を繋ぐ接点となり、社員が働きやすい環境をつくること。それが何かということを考え続けなければなりませんし、まずは人事部員がいきいきとしていないと。」
そしてその理念を実行するためには、人事部のメンバーには考えるだけではなく、失敗してもいいからやることが大事だと伝える。
「おおむね失敗するし、できないもの。人生不如意十常八九という言葉があるように、十のうち八や九は思い通りにいかないぐらいの気持ちでやったほうがいい。」
金馬氏が若手社員によく話す言葉がある。それは「縁と運」。
「人との付き合いやつながりを考えると、よく縁と運の話をします。縁を大事にしていれば運につながる。運は運ばれてくるものだから、そのためには縁を大事にしろと伝えています。今の自分自身がまさにそうだからです。ご縁に恵まれて、いろいろな方に後押しされて、この職位に導かれた。このために今までの縁があったかと思います。」
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