人事部のご担当者の中には、社員からの各種証明書の依頼に忙しい思いをされている方もいらっしゃるかと思います。様式も様々で、手書きであったり、社印が必要であったり、同じような項目名でも定義の違いがあったりと、申請書の作成に手間がかかり気を使う上、場合によっては提出締め切りまでに日が無く社員から催促されてしまうといったこともあるのではないでしょうか。
今秋から自治体で申込みが開始された来年4月保育園入所では、国が示す標準的な様式に変更する動きがありました。証明書が無くならないのであれば、その作成が簡素化する動きは歓迎するものです。
今回は、証明書にまつわる動向と作成作業の効率化について、ご紹介いたします。
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こども家庭庁は2023(令和5)年5月29日付け事務連絡「就労証明書の標準的な様式について(周知)」で、2021(令和3)年7月に示された就労証明書(簡易版)を基にした標準的な様式を示しました。本人の申請により確認可能な本人住所や通勤手段等が削除され、業種~備考欄までの14項目を標準とし、それら以外の項目の追加は同じく2021(令和3)年7月に示された就労証明書(詳細版)のみに係る記載項目を各市区町村において必要性を検討し、必要不可欠な項目に限定した上で可能とするとしています。
今回の標準的な様式でも、2021(令和3)年7月に示されたコロナ禍を踏まえた押印欄の削除は継続されています。押印が無い場合でも、有印私文書偽証罪、有印私文書変造罪又は私電磁的記録不正作出罪の構成要件に該当すると認められる場合は各罪が成立し得ることから、就労証明書の上部に「※本証明書の内容について、就労先事業者等に無断で作成し又は改変を行ったときには、刑法上の罪に問われる場合があります。」との注意書きがされています。
企業等事業者からの就労証明書の直接提出方式は、就労証明書と入所申込が別々となることによる紐付け管理の負担増や、企業等事業者が提出先市区町村を誤ることが発生した場合に生じる申請者への不利益等から、検討が取りやめられ本人による申込のみとなっています。
また、標準的な様式が示されたことにより、マイナポータル(ぴったりサービス)の就労証明書作成コーナーは、公開していた市区町村毎の様式が削除され標準様式(エクセルファイル)のみの掲載となり、「自治体毎の独自様式での提出要否は、各自治体ホームページ等の案内をご確認いただくようお願いいたします。」との注意書きが付されるようになりました。
この周知を受け、今秋より開始の2024(令和6)年4月入所の申込みにおいては、以前は利用調整のために多くの項目を求める大都市向けであった就労証明書(詳細版)を使用していた自治体や、独自様式を用いていた自治体も、標準的な様式に切り替える動きが見られました。
各自治体による独自項目の追加や記載要領による指示の差異等により、作成する企業側での業務効率化が難しかったものが、負担軽減を目指し標準的な様式へ統一される動きは、歓迎するものでありますが、まだ一部であり、独自様式の証明書は残っている状況にあります。
標準的な様式についても、就労実績で過去3ヶ月の月間就労時間を記載しますが、国が示した記載要領に示されていないためか、形式が「時間/月」なのに小数点以下(分単位)の扱いについて自治体のホームページ等でも説明がありません。いくつかの自治体へ確認したところ、多くは小数点以下を切り上げでしたが、切り下げとする自治体もあり、細かな部分で統一へは至っていない所もある状況です。
子ども家庭庁 (政策 > 保育):
https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/
別添 就労証明書(簡易版)標準的な様式(Excel/47KB):
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/e77c0951/20230401_policies_hoiku_24.xlsx
標準的な様式へ統一されつつあるとは言え、それなりに手間はかかり、かつ独自様式が残っているため、証明書作成作業の効率化は進めたいです。以下にいくつかのアイデアを紹介いたします。
ホームページ等からエクセルファイルやPDFファイルで入手できるケースが増えてきたので、手書きは避けPCで作成する。PDFはAdobe Acrobat Readerでも「入力と署名」の機能で、フォーマットの上から文字をのせることが可能です。
勤務実績、給与支給実績等、システムで情報を確認するものは、(ご利用されているシステムに依りますが)データ抽出条件を定義化し、定型的にダウンロードできるようにしておく。証明書以外でも、役所から定期的に提出を求められる毎月勤労統計等でも、同様に活用できます。
残業を含まない就労時間を記載する場合は、あらかじめ18~23日のケースで月間の就労時間数を計算しておき、証明書作成毎に計算しないようにする等、一律で記入できる項目については、あらかじめ記載内容を準備しておき、作成都度の手間を省く 。
今後、エクセルファイルの標準的な様式を利用する団体が増えるに従い、あらかじめデータファイルから標準様式の証明書ファイルへ、関数、VBA等で反映できるようにしておく。
給与計算や勤怠管理でアウトソーサーを利用されているのなら、証明書作成業務を依頼してしまうのも効率化の一つです。実際、労務管理サービスをご利用いただいているお客様から証明書作成業務をお受けしているケースもあります。当社では、労務管理の代行を通じて、時代とともに変化の生じる人事課題の解決をご支援させていただいております。お気軽にご相談ください。
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