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労務コラム関心を持つことでちょっとした変化に気が付く! メンバーマネジメントの3つのポイント

はじめに

今年も残り半年となり、気が付けば夏期休暇を取得する時期になりました。
昔から夏季休暇やゴールデンウイークのような長期休暇後は、メンタルを含む体調不良を起こしやすいと言われており、メンバーマネジメントを行う上で気を付けておきたい時期かと思います。
さらにここ数年はリモートワークの定着もあり、以前にも増してメンバーの変化に気づくのが難しくなっているとの声が聞かれます。
そこで今回のコラムでは、メンバーマネジメントを行う皆さんに向けて、「メンバーの不調に気づく3つのポイント」、「実際に起こった際によく受けるご質問およびその対応方法」についてご紹介いたします。

本コラムのキーワード

  • 長期休暇の注意
  • メンバーマネジメント
  • 相手を尊重し興味関心を持つ
  • 様子の変化に気が付いた際の対処法

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<メンバーの不調に気づくポイント>

その1)メンバーに興味を持つ(特に新しいメンバーを迎え入れ

マネジメントを行う皆さんには、メンバーのパフォーマンスを上げる(維持する)ことが求められます。メンバーのパフォーマンスの上げ方を検討していくためにも(少なくとも不調に気づくためにも)、まずは面談や日常会話等で各メンバーの状況を知りましょう。特に新しくメンバーを迎え入れる場合は注意が必要で、前任者からその人に関する引継ぎを受けることをお薦めします。この引継ぎが、「新しいメンバー」のパーソナリティを知る重要な機会となります。パーソナリティをある程度理解した上でメンバーと接するだけでも、コミュニケーションの質が変わり心的距離が全く違います。こういった引継ぎを依頼する相手は、前部署の上長、もしくは新入社員の場合は人事になります。

主な確認ポイントは、入社経緯、本人の強み弱み、志向、勤怠状況、配慮・考慮すべき点などです。その際、例えば(フレックスの会社で)いつも始業時間が遅い、夕方になると能率が落ちる、など疑問に思うことがある場合は、メンバーにぜひ興味を持って接してください。

× よくわからないけどそんなもんか、と受け入れる
〇 なぜだろう?という疑問を持って確認する

メンバーがどんな状況に置かれているのか、何を抱えているのかは、仕事をしている様子からだけではわかりません。また、関係性を構築出来ていない状態で待っていてもメンバーから話し掛けてくることは基本的にありません。上長の方が興味を持って接することでメンバーの状況把握ができます。

その2)日頃の様子の変化を確認する

少し感覚的なものになってしまいますが、できるだけ日々、メンバーの様子を見ていつもとの違い(変化)に着目してください。
主な確認ポイントは、顔色、声色、態度、服装・髪型、挨拶した時の反応などです。
※ これら全てを確認する必要はありません

とはいえ、リモートワークでは、メンバーの様子がわかりづらいかと思いますので、リモートワークの場合は毎日(少なくとも毎週)決まった時間にオンライン上で集合する場を設けてみてください。メンバーから話をしてもらう場として「定時(週次)ミーティング」を設定し、ビデオ画像や音声からメンバーの様子を確認してください。何を話してもらえばいいか分からない場合は、業務の進捗状況でも構いません。日頃の相談事項なども、チャットや電話ではなくできるだけビデオ通話(表情が見える会話)を行うことをお薦めします。

変化が見られる場合は、その場で声をかけてみるのも良いでしょう。メンバーについての「新たな情報」、「新たな気づき」を得られるきっかけになるかもしれません。どのように声を掛けたらよいか?については、【よくある質問】にて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

なお、ここで注意したいことは、ご自身の「好き嫌い」や「価値観」と混同しないことです。
例えば、「いつも寝癖がすごい」ことに対して、様々な感情が湧くかもしれませんが、業務上影響しない範囲であれば、口出しする必要はありません。

メンバーのパフォーマンスを上げる(維持する)ために大切なことは、「いつもとの違い(変化)」に目を向けることです。

その3)勤怠情報を確認する

勤怠はメンバーの変化に気づくための情報の宝庫です。

主な確認ポイントは、

  • 始業時刻: 遅刻が増えていないか、早朝勤務になっていないかなど
  • 休憩時間: 短すぎないか(きちんととれているか)、長くなりすぎていないか
  • 終業時刻: 早退が増えていないか、残業が多くなっていないかなど
  • 休暇状況: 適度に休めているか、理由が曖昧な休みが多くなっていないかなど
  • 総労働時間: 週次、月次の状況

休憩、休暇、総労働時間などについては、労働基準法で定められている基準がありますので、適切な範囲かどうかも確認するようにしましょう。
労働基準法で定められている基準は、労働者の健康を維持するための目安として設定されています。単に、法律にあるから守るということではなく、メンバーのパフォーマンスを上げる(維持する)ためにも把握しておく必要があります。もし、基準から外れる働き方が常態化している場合は、改善措置を取るよう働きかけてください。

メンバーの勤怠状況に変化が見られる場合は、まずは状況(理由)を正しく把握してください。その際、責めている(叱責を受けている)と受け取られるような態度にならないようご注意ください。労うべきところは労う、心配な部分は心配する、が基本です。
把握した結果、理由が明確でない場合は、不調のサインと捉えたほうが望ましいと思われます。心身、特にメンタルの不調は、自分では気づけない(なんとなく気づいていたとしても見送る)ことがあります。不調の中には、早期に発見できれば、休養により回復でき、病気に至らずにすむケースもあり、逆に放置すると、深刻化し、仕事からも長期離脱しなければならないような本人にとっても、会社にとっても望ましくない状況に陥ってしまうケースもあります。

メンバーマネジメントを行う皆さんにお願いしたいことは、メンバーの不調に気づいたなら、できるだけ休養が取れるよう働きかけ、また早めに医師の診断を受けるようアドバイスしてください。
メンバーの中には、休養を取ることや医師の診断を受けることに否定的になる人もいます。ただ、前述の「日頃の様子の変化」とは異なり、勤怠情報は「客観的な事実情報」です。「客観的な事実情報」を元に、ご本人にも理解できるよう、丁寧にお話ししていただければと思います。

このように、勤怠情報から得られるものは多いのですが、そもそもの勤怠管理が曖昧ではメンバーマネジメントに活用できません。メンバーのパフォーマンスを上げる(維持する)ためにも、しっかりとした勤怠管理を行ってください。

【よくある質問】

  • メンタルヘルスを疑う社員に下手な声掛けができない。より悪化させてしまうのではないかと思うと怖い。

    →もちろん上司は医者ではありませんので病気の有無を確認したり、治療したりすることはできません。
     なので、病気の種類を確認するような質問をしたり、治療のためと思ったアドバイスなどは
     避けたほうが無難です。(ご心配されている通り、実際に悪化させてしまう場合があります)

     声掛けをする際には、「発生している事実を元にする」で大丈夫です。
     勤怠情報、ミスの発生数・率、など極力 客観的事実を元に確認ください。
     その際、責めている(叱責を受けている)と受け取られるような態度にならないようご注意ください。

  • メンタル面の疾患を疑う社員にどのようにしたら病院へ行ってもらえるか?

    →身体でも心でも、おかしいな?と思ったら診察を受けてみるのが基本です。
     ただ、メンタルヘルスの病院はまだハードルが高いと捉える人も多いため、
     まずは身体面の不調がないかを探り、身体面での不調が見られない場合にメンタル面の不調も
     念のため確認してもらう流れが、受け入れられやすいでしょう。

  • いつもとの違いに気づいても、セクハラが気になって、どう声をかけていいかわからない。

    →セクシャルハラスメントに捉えられてしまうかどうかは、確かに気になるところかもしれません。
     お薦めしているのは、あくまでも「いつもとの違い」に着目した発言をすることです。
     また第一声として、自分の好みを伝えるのは避けたほうが無難です。
     (ただし会話が深まった際に、良い感想を言うのは、自己開示となり、関係性を深めるきっかけになりますよ)

    × 今日はかわいいね
    〇 いつもより明るく見えるね

  • いつもと様子の違うメンバー(悪い変化)に、どのように声を掛けたらいいか?

    →お薦めしているのは以下です

    × 大丈夫ですか?
    〇 何かありました?どうかしましたか?

    大丈夫ですか?と聞かれたら、「YES/NO」でのクローズド・クエスチョンとなります。つまり、「大丈夫or大丈夫じゃない」のいずれかの回答になります。その際、なかなか「大丈夫ではない」とは言いづらく、多くの人は「大丈夫」と答えがちです。(特に日本人ビジネスマンはNOにあたる表現はしづらい傾向にあるようです)
    それに対して、何かありました?どうかしましたか?と聞かれたらどうでしょうか。「何もありません」は、NOの表現にあたるため、やや言いづらく何か答えようという心理が働きます。もし、そこで何か躊躇している様子がうかがえた場合は、落ち着いて話せるタイミングで「あの時の反応が少し気になった。もし何かあるなら話してほしい」と伝えてみてください。
    メンバーが置かれている状況をキャッチする、きっかけになるワードとなりますので、ぜひ覚えておいていただければと思います。

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コラム作者情報

ピープルユニットという所謂HRBP機能にて、数多くの従業員面談をおこない、心身とも健康な状態で業務を行えているかの状態把握および個別フォローを行う。
[心理相談員、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント]

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