お陰様で当社は創業から20年以上が経過し、有難いことに業界の中でも先駆け的な存在として人事の皆様に認知いただいております。
サービスは大きく分けて人事労務支援と採用支援の2つがあります。人事労務支援の特徴は、自社開発の人事システム「EHR」を使って勤怠申請や人事関連申請ワークフローといった機能と人事情報の一元管理を行い、さらにアウトソーシングサービスとの組み合わせにより、人事部門を単なる事務サービス部門からの脱却、付加価値のある部門として発展していただくべくサービスを提供しております。ちなみに筆者はこの人事労務支援に携わっている人間です。
また、当社の主力サービスである採用支援事業では、新卒採用や中途採用に関する支援全般をサービスとして提供しています。創業以来培ってきた豊富な経験とノウハウから各企業様の特徴にあった採用活動支援を提供し、アウトソーシングだけでなくコンサルティングのご支援もしており、お客様の経営戦略実現に貢献しております。
前置きが少し長くなりましたが、今回のコラムでは、同一企業様に採用支援と人事労務支援の両方を提供している事例をご紹介いたします。
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今回のケースでお客様が元々ご利用いただいているサービスは人事労務支援でした。ご支援内容は、給与計算(賞与、年末調整)のアウトソーシングと人事考課、就業管理、人事関連申請ワークフローなどの人事システムとフルサービスに近い範囲をお任せいただいておりました。
当社とのミーティングの席上で、あるとき労務以外の担当の方と人事部門の課題について意見を交わす機会がありました。そこでお客様から採用についての課題をお伺いすることができ、来年度の新卒採用の検討を進めているが同業他社との人材の奪い合いに苦労していることへの課題、オンボーディングなどを意識した人事制度の見直しを検討していることなどを伺いました。そこで、当社の採用支援をご提案させていただき、当社の採用支援の担当者をご紹介しご支援を開始しました。
お客様はそれまで採用に関しては自社で行っており、同業他社を強く意識して進めていたそうです。当社からの提案には、相対的な市場動向、トレンドなどについても情報を得ることができ、とても有益であったと当時の担当者から伺っていました。
採用計画の立案から進めていく中で、採用ホームページというリクルート専用サイトのリニューアルを手掛けさせていただきました。採用ホームページは応募者に向けた情報発信やブランディングという点では重要なツールの1つですが、当社の採用支援チームはここに注目して改革をスタートさせました。このリクルート専用サイトのリニューアルをきっかけに、今ではすべてのサイトが刷新されました。元々お客様は生活商材を取り扱っており、デザイン性の高さが通常の会社よりもポイントになりやすく、商材や会社の魅せ方などがそのまま企業イメージに直結してしまうような業種です。今回のリニューアルは本業にもいいブランディングになる可能性もあり、お客様もご満足いただけている様子でした。
新卒採用が軌道に乗ると次に課題となるのは、制度の見直しです。以前から人事制度を見直したいと考えていたお客様から「現状の賃金実態の把握、他社の人事制度と比較した(お客様の人事制度上の)問題点の整理」がしたいとのご要望をいただきました。
お客様の構造的な問題として、一定の経験が必要な職種が多く、常に右肩上がりの賃金体系になってしまうことや、中堅層の人財不足といったものがありました。これらを解消するための新しい人事制度(賃金テーブルや人事考課の評価項目の見直し)の草案はお客様が既に作成済みでしたが、それについて、第三者による客観的な評価や可能であれば他社の事例等をふまえて評価したいというご要望をいただきました。
そこで、人事システムEHRに蓄積された人事データ(給与実績や人事考課結果、社員属性など)から、入社年度別や年齢別の賃金実態について明らかにすることにしました。そうすることでお客様の仮説を数値的に証明し、中堅層の人財不足が起きる要因や人事考課の傾向などについて仮説を立てていき、分析結果に基づいてご説明をしました。すると、恐らくどの会社でも存在してまっている評価に関する問題が、お客様の反応から明らかになりましたので次の章でご紹介します。
人事考課の傾向を明らかにすることは、制度改善の参考になることはもちろんですが、それを採用活動にフィードバックすることができる相乗効果があります。
このコラムを読みながら、そんなことは既に社内で実施しているという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、こういったことはアウトソーサーが行うことに客観性が担保されるのではないかと私たちは考えています。
今回、私たちが分析を行ったことで問題が明らかになった実際にあった話なのですが、分析結果を説明した際、お客様より「○○さんは例外だから」のような理由付けをいただき、根拠に基づかないある種の公平性のない評価がされてしまいそうなことがありました。それにストップを掛けるのが私たちの役目ですので、正しい評価ができる仕組みづくりについてアドバイスさせていただきました。
このように社内だけでは、トップダウンで発生してしまう例外措置も第三者が介入することで歯止めをかけることができるのです。
しかし、給与計算のアウトソーシングと採用支援のアウトソーシングを別の業者に委託している場合や、労務と採用が部署や担当が異なるというケースでは、連携が難しくそういった情報の共有ができていないことがほとんどです。当社のように人事労務支援と採用支援両方のサービスを提供させいただくと、お客様からご要望あった際には分析の結果などシームレスに連携することができます。この連携が奏功して新卒採用計画にも即時反映させていくことができたことは、お客様にとって1つの付加価値だったように思います。
入社のミスマッチが起きないように常に最新の情報を元に採用計画を立てて、会社で活躍し成長できる人財を計画的に採用する。そして、その方が会社の中で実力を大いに発揮できる環境や制度づくりの両面から支援できるというのは、他社には真似することができないサービスです。
筆者は人事アウトソース業界に長く携わっていますが、ここまでお客様の制度改訂に深く関わった経験はほぼありませんでした。当社が採用支援事業と人事労務支援事業の2つの柱があって実現した今回のケースのように、お客様と課題を共有し、解決に向けて一緒に歩んでいくことができたので1つの成功事例と言えます。さきほども述べましたが、これは他のアウトソーサーでは提供していない当社固有のソリューションであり、相互作用的なバリューアップが期待できます。
これからも、人事労務支援事業のアウトソーサーとして、人事管理ツールとしてEHRシステムの提供、給与計算処理代行をしていくことは変わりません。しかし、それだけにとどまらず、今回のケースの様に蓄積されたデータを活用した付加価値の高いサービス提供もお客様と一緒に考え、人事部門の総合的な課題の解決に寄与できる当社の強みを活かした戦略人事パートナーの実現に向けて邁進してまいります。
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