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労務コラム生産性を高める年末調整運用スキーム 2021年版! ~電子化活用のススメ~

マイナンバー制度が本格スタートした2016年から、もう5年の月日が過ぎようとしています。
マイナンバー制度は、税制分野・社会保険分野における各種手続きについて、企業の業務負荷を軽減させる事も目的の一つとして示されながらスタートしました。

社会保険分野では、届出種類によっては添付書類の廃止や届出そのものを不要とするなど、緩やかな感じではありますが、その効果は少しずつ具現化されてきました。
一方、税制分野に関しては、確定申告等、個人が行う手続きにはその効果が多少見えるものの、企業が行う手続きにはいまだ効果が見えていないと感じられる方も多いのではないでしょうか。

税制分野における企業の人事・労務部門が対応する1大イベントは言わずもがな「年末調整」の声があがると思います。
マイナンバー導入を契機に、年末調整の業務負荷軽減を期待していましたが、その期待とは裏腹に、基礎控除、配偶者控除の見直しや所得金額調整控除の新設、寡婦の見直し(ひとり親)など制度は益々、複雑化されたり、これまで2枚の申告書(扶養控除等申告書・保険料兼配偶者特別控除申告書)でよかったものが1枚増えてしまったりなど、年末調整にかかる業務負荷は増加しているのが実際のところです。

今回はそのような「現在」でもできる限り生産性を高めたい、そのような考えをされている方にご覧いただきたいコラムです。

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年末調整の『電子化』とは? 電子化するとどのようなメリットがあるの?

まず、これからお伝えしていく電子化とは、いわゆるe-TaxやeLTaxの話ではなく、 従業員が企業(人事・労務部門)に提出する各種申告書を電子(電磁的方法)で申請させるという意味のスキームです。

ですので、そのような「年末調整機能のあるシステムを導入する」という少しハードルの高い前提条件はあります。
システム導入が難しいという場合は、2020年から国税庁も「年調ソフト」なるアプリを公開していますので、そういうもので実施してみるという手段もあるかと思います。

年末調整機能のあるシステムで各種の申告書記載情報があることといつでも印刷できるものであれば、「扶養控除等申告書」、「基礎・配偶者・所得金額調整控除申告書」、「保険料控除申告書」の3帳票は、紙で提出する必要はなくなりますので、まずは下記の削減効果があると考えます。

  • 紙を人事・労務部門に提出する従業員の稼働
  • 紙の回収、従業員番号順等への並べ替えなど人事・労務部門の稼働
  • 用紙代や申告書を保管する管理費

身上関連や各種控除関連の情報もデータ出力が可能であれば、そのデータを給与計算システムへ連携するだけになりますので、下記の効果も考えられます。
※ただし、実態的には、保険料控除申告書は従業員の入力ミスが考えられますので、従来の一般的なチェックをすることを現在では推奨しています。

  • データ起こしの稼働

これらをやろうとすると、従業員1人分で最低でも10分程度はかかるのではないでしょうか?
1,000人の従業員がいた場合、1,000人×10分=167時間
おおよそ、1人/月の人件費を費やすということになり、これだけでも相当な削減効果を実感できるのではないかと思います。

他のメリットとしては、「進捗状況の見える化」もあります。
紙の年末調整では、誰が着手しているのか、していないのかを把握することはできません。
当然ながらシステムを利用すれば、従業員の入力状況が管理画面で把握できますし、メール機能搭載システムであれば未着手者へ督促メールを送信することもできます。
管理のうえでも電子化の恩恵を感じることができるかと思います。

電子化できないものはあるの?

中途半端な状況である事は否めず、現在では下記の申告書・証憑などは電子で提出させることができません。
紙で提出されることになりますので、従来どおりの対応が必要になります。

  • 紙の保険料控除証明
  • 紙の住宅借入金等特別控除申告書
  • 紙の住宅借入金年末残高証明書
    ※住宅借入の申告書・年末残高証明書は家屋の居住年月日が平成31年以後の場合に限り電子データでの交付を受けることができます
  • 給与所得の源泉徴収票
  • 国外居住親族に係る親族関係書類、送金関係書類、勤労学生に該当する旨の証明、障害者に該当する旨の証明など

ただし、昨今のCOVID-19対策の一貫による政府のテレワーク推奨もあいまって、完全電子化へ向けた国の取り組みは加速傾向にあるとも感じます。
現在は電子化できないものも、電子化への変更あるいは省略・廃止となっていくことも考えられます。
なお、年末調整書類を電子で提出させるには、管轄税務署へ事前に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を届出る必要がありましたが、この届出は令和3年4月より不要となりました。今後の税制改正には注目です。

周辺業務の効率化

年末調整業務へは直接には関係しない、いわゆる周辺業務では、例えば、従業員からの問い合わせ対応(ヘルプデスク)に追われるという課題もあるのではないでしょうか?
折角FAQ資料を作成し配布しても、該当のページを読んでもらえず、問い合わせてきてしまう……というような。

そういうケースは『電子化』という意味でもチャットボットの導入はいかがでしょうか。
チャットボットは、質問の内容に回答がされますので、「該当のページを探す」のような行為はなくなります。

チャットボットの導入についてのコラムも当社ホームページに掲載しておりますので、是非、ご覧ください。
【参照】給与計算をアウトソースしても業務が減らない人に教えるチャットボット導入によるヘルプデスクサービス

まとめ

これまで電子化によるメリットのお話しかしてこなかったな……とここにきて反省しております。
当然ながらデメリットも考えられることとしては、

  • データ入力に抵抗感のある従業員からクレームがくる
  • 電子化が認められるもの認められない証憑が混在する現在では、逆に混乱する

などがあるかもしれません。
それらについては、導入当初だけでもヘルプデスクを手厚く対応し慣れさせていくことや、提出させるべき証憑の形態を統一(ルールを定める)ことで多少でも解決できるのではないかとも考えます。

当社は電子化すべきものについてはそれを前提としたソリューションを提供していますが、この年末調整の電子化は百害あって一利なしということは全くなく、むしろメリットの比重がすごく高いものと実感しています。
従業員様含むお客様にも、書き物がなくなった、提出すべき書類の数が減った、申告書の管理が軽減された、など運用にかかる評価も実感いただいている事も事実としてあります。

従来の年末調整の作業負荷を考えれば、まだまだ中途半端ながらも効果があるものと感じているところです。
このコラムを見たことで、人事・労務部門のご担当者様の業務負荷が軽減され、企業の生産性向上に結びつくような事があれば幸甚です。

最後に当社のサービスを少し紹介させていただくと、独自開発の人事システム『EHR』と人事労務管理業務(BPO)のフルアウトソーシングサービスです。

EHRは当然、年末調整機能のあるシステムです。その機能は、エンドユーザーが年末調整情報をシステムへ入力するプロセスの中で、身上的な情報(例えば、氏名変更や寡婦の申告、扶養親族の追加・削除)も変更することができ、変更した情報は、社員マスタも同時に更新されます。年末調整システムが人事システムと連動していなければ、変更された身上情報も人事システムへ連携する必要も発生しますので、機能が一元管理されたシステムであるほうが効率的であることは言うまでもないかと思います。

また当社のBPOサービスは、年末調整結果を給与計算に反映させる給与計算業務は勿論のこと、ヘルプデスク対応、源泉徴収票の交付(WEB源泉徴収票)もサービスのラインナップとしてご用意しております。
究極は、全てアウトソースしてしまうことも生産性を高める為のスキームかもしれません。
というよりも、年末調整自体を企業がやらなくても済むような制度を国には模索していただきたいな……と、私の心のツイートとさせていただき、本コラムのまとめとさせていただければと思います。

最後までお読みいただけましたこと、心より御礼申し上げます。

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