6月となり、早くも1年の折り返し地点を迎えました。
2022年新卒採用も、各企業とも程度の差はあれ、ようやく活動終了に向かいつつある時期かと思います。
本音を言えば、やっと一息つける、と思いたいところ。
しかし、2023年新卒のインターンシップ活動は既に始まっています。
大手ナビでは、先んじて4月からインターンシップの先行予約受付を開始していました。
皆さんの中には、2022年新卒の選考ピークにも関わらず何とかインターンシップ情報の掲載にこぎ着けた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「ひとまず、母集団を集めるには集めた。次は、この人たちをどうインターンシップに参加させようか」
確かに、今ある母集団を「耕す」のは大事ですが、一度立ち止まって考えてみましょう。
耕すべき「土壌」として、本当に今の母集団が適しているのでしょうか――。
今回のテーマは、「6月の今、『採りたい人物像』を定義しよう」。
インターンシップ設計が本格化する7月を前に、少し余裕のある今だからこそ、お伝えしたい内容です。
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いったん話を変えて、10年前に時間を巻き戻してみましょう。
当時は、多くの企業でインターンシップの開催がまだ当たり前ではなく、夏=次年度採用の構想を練る期間 としてじっくり時間を費やすことができました。
例えるならば、
といったところでしょうか。
インターンシップにかかる負担がない分、繁忙期も4~6ヵ月と短く、計画~実行を無理のないスケジュールで実施可能でした。
また、活動終了後の閑散期はじっくり振り返る時間を取ることができました。
まさに、理想的な採用活動サイクルです。
では、現在の採用活動は10年前と比べて、どうでしょうか。
4~6月ごろに2年度分の活動が重なるスケジュールは今では当たり前のようになってきており、採用担当者は1年中休む間もありません。
さらに、今年は時間的な余裕のなさに加えて、コロナウィルスという不確定要素もあります。
2022年新卒採用の先行きも見通せない3、4月に、早くも次年度に向けた意思決定をしなければなりませんでした。
そもそも、今年度の結果も出ていない段階。取り急ぎ前年踏襲で一旦は凌いだ、という企業が大半なのではと思われます。
もちろん、目の前の土壌からでも収穫の可能性は十分あります。
しかし、本当に採用したい人物が、もし別の「土壌」にいたとしたら。
取り急ぎで前年踏襲を続けてしまったら、より良い土壌探しの機会を何年にもわたって失ってしまうかもしれません。
甘味と形の美しさが有名な「三島馬鈴薯」は、静岡県の深く柔らかい土壌で生産されます。
また、山口県の「美東(みとう)ごぼう」は粘土質の硬い土壌で栽培され、周りの土の圧力を受けてゆっくり成長するそうです(それぞれ、農林水産省「登録の公示(登録番号第18号/40号)」)。
どちらも、農産物の特性を考慮した上で、より栽培に適した土壌が選ばれています。
もしそれぞれの土壌を取り替えたら、どうでしょうか。
想像の範囲ではありますが、きっと現在のような質の高い品種は維持できないはずです。
つまり、実り(=採りたい人物像)を念頭においてこそ、初めて土壌(=母集団チャネル)や耕し方(=インターンシップ設計)についてどうあるべきかが考えられるのだと思います。
では、採りたい人物像をどうやって策定していけばよいでしょうか。
採りたい人物像とは、会社の経営・成果創出に必要な人物の採用基準となる人物要件を設定し、採用計画や情報発信、そして選考設計に活かしていくものです。
そのため、策定手順としては、会社の経営や経営目標に必要な人材や成果を創出するための能力などから、人物要件に落とし込むことが一般的です。
例えば、今後AIやIoT事業に力を入れたい企業であれば、
といった要素が挙げられると思います。
特に新卒採用は、基本的に社内活性化のために多様性が求められ、且つ未経験者のポテンシャル採用であることから、特に能力、社風適合性、属性を重視して検討することが望ましいでしょう。
もしかしたら、皆さんの中にはこのような人物像は既に掲げられているかもしれません。
あるいは、言葉にしないまでもチーム内で何となく共有されている、と感じている方もいらっしゃると思います。
しかし、ここで重要なことは、人物像を設計することだけではありません。
設計に当たりチームで話し合って議論する過程そのものが、人物像と同じくらい重要なのです。
例えば、チームで掲げた人物像の中に「コミュニケーション能力が高い」という要素があったとします。
一口に「コミュニケーション能力が高い」と言っても、
などその言葉が表す内容は多岐に渡ります。
そのため、担当者Aさんは今後の注力事業を考えて、「自分の意見を臆せず伝えられる」力に比重を置いてイメージしている一方で、Bさんは現在の社員で不足している要素を念頭に、「周りの人の協力を求めることができる」力をより重視しているという可能性も十分にあり得ます。
担当者間での議論がなければ、こうしたお互いのイメージの差に気づくことは難しいでしょう。もっと言えば、自分自身が何を重視しているかも、他の担当者と話す中で初めて気づく場合もあります。
さらに、議論が派生すれば、3年後、5年後といった中長期を見据えた、より戦略的な人物像設計にもつながります。
私のあるクライアントでは、「優秀層はもちろん欲しいが、今ではない。今は5年後に優秀層が採れるようにするための足掛かりの時期」といった言葉をよく耳にしました。現在の企業規模、人材の幅、事業領域などを現実的に鑑みた上での人物像が、担当者間でも十分に共有されていたため、よりチーム一丸となって成果に邁進されているように感じました。
「実質的な意味で、人物像が共有されているか」。
これは、採用活動の最終局面で、大きな差を生むカギとなるのではないでしょうか。
前述の通り、近年の採用・インターンシップ活動は、非常に過密なスケジュールの中で行われています。
多忙な中、急ごしらえの母集団となってしまうのは、無理もないことだと思います。
しかし、6月半ばであれば、まだ間に合います。
ぐっと力を入れて、「そもそもどんな人を採りたいか」を考えてみてください。
結果、今とは別の母集団チャネルやインターンシップ設計が求められるという結論になるかもしれません。
7月まで残りわずか。
ある意味、この2週間が1年の成否を決めるといっても、言い過ぎではないでしょう。
6月の今だからこそ、チームで話し合い、ぜひ「採りたい人物像」を定義してみてください。
当社では、求める人物像設計のご支援もさせていただいております。0から人物像設計を作るために社内の様々層へのインタビュー調査等を行ったり、議論の場を設けるなどして策定をサポートしております。自社のリソースでやるには他の業務が忙しくて対応出来ないといった場合や、ノウハウが無くてどうやって進めたらいいかわからないといった際には是非一度ご相談ください。
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農林水産省「登録の公示(登録番号第18号)」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/18.html
農林水産省「登録の公示(登録番号第40号)」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/40.html
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