働き方改革の必要性が注目されています 。その中で、業務フローの見直しを行い、効率化を図ったはずが、気づけば元の業務フローに逆戻りしているということが散見されます。
この怪奇現象(回帰現象)は、なぜ起きてしまうのか?
現象の詳細と原因について深く突き詰めてみます。
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多くの企業にとって 、働き方改革を実現するための業務の効率化は、喫緊の課題です。
効率化が求められるのは人事部だけではありませんが、労働時間についての課題は人事部にとっては他人事ではありません。そのため、まずお膝元である自部門でのコスト削減、効率化を目指して業務プロセスの見直しを行う例が多く見られます。
ちなみに、多くの業務改善プロジェクトは、改善案の策定や新しい業務フローを書くことに苦労をしているわけではありません。少しコツを掴んだ担当者がいたり、場合によっては外部のコンサルタント等を活用すれば、無駄のない今までの状況が嘘のようなスッキリした業務フローが描かれることはよくあります。
ところが、いざ運用に入ってみると思い通りにそのフローで業務が回るとは限りません。よく見られるのは、しばらくの右往左往を繰り返した結果、もとの業務プロセスに戻ってしまう現象です。
せっかく紙による申請をなくしたのに、せっかく承認する人を減らしたのに、せっかく無駄だと判断したダブルチェックをやめたのに….
気づけば紙による申請が復活し、承認から外した人のところに承認ルートが戻り、ダブルチェックが復活していたりします。当然、新しい業務プロセスにしたことによる工数削減効果も、業務スピードアップ効果も雲散霧消します。表向きは、プロセスが改善されて効果が出ることを約束してしまったがゆえに、改善前よりも現場の首を締める結果になることさえあります。
例えば、トップダウンによる業務改善を実施したある企業では、プロセスの改善により給与計算全体のスケジュールを見直し、現場から要望の高かった申請の締切の後倒しを行いました。しかし、当初の思い通りに業務プロセスの変革が定着しなかったが故に業務の流れは元に戻り、よりタイトになったスケジュールのために、人事部が連日残業に陥るという悪夢のような出来事が起きた例さえ伺ったことがあります。
上記の例に限らず、早急な業務プロセスの改善は、元の木阿弥に戻る例が多々あります。分析してみると、以下のいずれかのパターンに陥っていることがよくあります。
プロセスだけを新しくしても、利用しているシステムが新プロセスに適合していない事例はよくあります。
見直した結果、不必要と判断した情報が、システムで必須入力になっていたり、ワークフローのシステムに添付ファイルがつけられないなどの制約があったために、紙による業務が継続してしまいます。
プロセス改善をする際は、通常パターンの業務のみを考えがちですが、例外業務が発生した場合、その対応を定めていないと、結局例外的な業務については、従来のやり方で行わざる得ない事があります。そのような例外が多発する状況にあると、そのうち通常業務も従来のやり方でやった方がいいような気がしてきて、通常業務も元の業務プロセスに戻ってしまっています。
これもよくある例です。業務プロセスの改善は、その業務プロセスへの不慣れな期間/定着しない期間は一時的に効率や品質が落ちてしまうことがあります。
そこを乗り越えれば、その前の業務プロセスに比べてより効率的に業務が進んだり、より高い品質の業務ができるようになるのですが、この一時的な落ち込みは避けようがありません。 (下へ落ち込んだカーブが、再び上昇するイメージから「チェンジカーブ」と呼ばれる現象です)
この一時的な落ち込みに際して、業務プロセスの変更時には必ず起こるものだとわかっていないと、つい「前のプロセスのほうがよかったのではないか?」という疑念に駆られてしまい、 結果として「やっぱり元に戻そう」ということになりかねません。
この怪奇(回帰)現象を食い止めるのは、なかなか難問です。
どんな人もやりなれた方法を変えることには、多かれ少なかれ抵抗がありますし、上記のように何か理由を見つけ、元のやり方に回帰したいという気持ちが発生するのは無理からぬことです。
具体的な処方箋は、以下のようなものになります。残念ながらトップが旗をふるだけでは、改善しません。 (勿論、トップ及び上層部がプロセスの変革に対してコミットするのは大前提ですが)
まずは、上記の「例外発生時」、「システムが対応していないとき」など、業務が元のフローに回帰したくなるきっかけを予測したうえで、業務設計を行うことです。業務フローが、絵に書いた餅にならないためにも、標準的なパターン以外の業務を意識することが必要です。
業務改善を行う為のチームと運用チームが分かれることはよくあります。運用チームが手いっぱいで、とても改善まで手が回らないなど事情は様々ですが、だれか別の人が作ったフローが運用チームにそのまま受け入れられるかといえばなかなか難しい事が多いです。改善チームはそれを意識して、運用チームを巻き込むことを業務設計時から忘れないようにします。
同じ担当者が業務をやり続ければ、上記の通り元に戻る力学が働きます。いっその事、業務プロセスの改善のタイミングで業務の担当者を変えてしまう方が、うまくいくことがあります。勿論、部門内でのローテーションでも充分ですが、外部の力を借りること (アウトソーシング) も有力な選択肢になります。アウトソーシングの場合、専門性を持った担当者に業務を任せることができるため、単なる効率化以上の効果をあげることができます。
新しい業務プロセスにシステムが適合していないならば、システムそのものに手を入れるか、システムそのものを切り替えることで、元のプロセスに戻せなくしてしまうという対処法があります。荒療治に見えますが、確実な効果を得るためには必要な投資として考えてみるべきでしょう。
上記のように業務の効率化を目指した改善活動は、一時のプロジェクトとして捉えるよりも継続的に状況を追いかけて、「効果が出ているか」、「元に戻っていないか」を見張る必要があります。これは「言うは易し…」の典型で、実現をするのはなかなか難しいのも事実です。
そのようなとき、「外部のちからを借りる」という選択肢も是非検討してみてください。レジェンダ・コーポレーションは、人事業務プロセスの見直しからシステムの提供、業務運用のアウトソーシングまでをワンストップで提供している企業です。お客様に並走することで、お客様の業務プロセスの改善を継続的に支援しながら効果を上げていただくサービスの提供を行っております。サービス内容にご興味をお持ちいただけましたら、下記お問い合わせフォームからお問い合わせください。
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