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労務コラムRPAは万能なのか?~人事が「RPA」を正しく理解するために~

RPAは人手不足を解決するのか

2019年4月に働き方改革法案の施行がスタートしました。厳しい残業規制が進む中、従業員ひとりひとりの働く時間が減り、企業の人手不足は顕著なものとなっています。普段から企業の人事部のお客様と接する中で、現場においても人事部内においても「マンパワーが足りない」と悩まれる声は増えています。

この人手不足は一時的なものでないということも、今後の労働人口データ調査から推測できます。労働政策研究・研修機構によると、日本の少子高齢化は進み、2030年には労働人口が現在の約6300万人から、5800万人へと500万人近く減少すると予測されています。(平成27年度労働政策研究・研修機構調査より)

人手不足を解消する手段として、2017年頃から大きな注目を浴びているのがRPA(ロボットによる業務自動化:Robotics Process Automation)です。少ない人数で生産性をあげることができると期待されており、昨年ぐらいから、導入を進めた企業が多かったのではないでしょうか。弊社でも、一部業務をRPAで運用するなど業務効率化の一助を担っています。

さて、RPAの導入を進めた企業の中でも、RPAの効果を出せた企業とそうでない企業の二極化が進んでいます。そこで、今回はRPA導入の体験談を、RPA導入を実行された企業の管理部門と、また、RPAツールを提供するベンダー企業へヒアリングを行いました。ヒアリング結果をRPA導入がうまくいかない3つの理由にまとめ、成功のポイントは何かを考察しましたので、ご参考いただければ幸いです。

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RPA導入がうまくいかない理由

  • RPA導入の目的があいまい

    経営からのトップダウンで、現場がRPA導入の検討を始めたものの、目的を認識していないまま進めてしまったというケースです。大抵の場合、経営からの号令のもと、どのRPAツールを入れるか情報収集をはじめます。ですが、RPA提供企業へ問い合わせする段階で、多くの担当者が、その導入目的をわかっていない。また、どの業務を自動化したいのか決まっていないということも珍しくありません。

    「とりあえずRPAを導入すれば、業務自動化・効率化ができ、従業員の負担軽減につながるのではないか。」という漠然とした思いのもとでは、導入そのものが実現しません。RPAを導入したい対象業務を明確にし、経営と現場の共通の課題認識のもと進めなければ効果が出ないと言えましょう。

    経営の狙いは、人件費削減や働き方改革推進のメッセージであることが多いです。しかし、RPAを導入してもすぐに人を辞めさせることはできないことが多く、人件費削減は即時効果として捉えにくいという現実も押さえておきたいところです。

  • ITと業務をわかっている人材が不足している

    RPA導入にはIT知識がないと困難です。プログラムを書けるぐらいのIT人材がいると導入しやすいですが、現場の業務もわかって、ITもわかる人材がなかなかいないというのが多くのケースです。

    たとえば、経理部門で、システムから漏れる定例業務を自動化したいというニーズがあっても、経理スタッフではITの知識がない。そこへ情報システム部門がサポートに入ろうにも経理の業務がわからない。経理業務とITをつなげることができないままRPA導入に頓挫してしまう。こういったケースは珍しいことではないのです。

    打開策として考えられるのは、経理や人事部門などRPAを導入する部門でIT人材を直接育てることですが、これでは時間がかかってしまいます。それよりも早く進めるためには、SEを管理部門に一時的に投入することなどが挙げられます。ですがこの策は、エンジニアを豊富に抱えるIT系企業に限られてしまうということです。

    人材を社内で育てるのか、もしくは外部から調達するのか。自社に合ったやり方を検討しましょう。

  • 運用ができない

    さて、RPA導入が無事終了しても、運用は続きます。ですが、運用できる体制が整っていないケースが、RPA導入がうまくいかない最後の理由です。RPA対象業務の書式変更や項目変更などは頻繁に発生することが多く、RPAを導入しても、それだけでは終わりにはなりません。

    導入後も運用できる人材がいないとアップデートに対応できず効果を出せないことがあります。RPA導入には数か月を要しますが、導入して終わりではありません。運用を続けられる体制のことをきちんと考えておきましょう。

    2 と 3 のIT人材を確保できない場合は、RPA導入支援のサポートが充実している企業のRPAツールを導入するとよいでしょう。また、弊社のようなIT人材を育成しているアウトソーシング事業の会社にご相談いただくことも打開策の一つとしてお考えいただければと思います。

成功のポイントは何か

では、RPA導入がうまくいかない3つのポイントをふまえて、RPA導入が成功するポイントは何かを考察していきます。ここまでお伝えしてきた失敗例は、RPA導入の目的を「既存の労働力の代替」と考えている点にあります。つまり、RPAを導入すると人が減ると思い込んでいるのです。

一方、RPAを実際に導入して効果をあげている企業の経験談によると、RPAは労働力を補うもので、代替施策とは考えないことが成功のポイントです。つまり作業量が多すぎて3人では回らない仕事に、RPAを導入することで2人分の稼働が加わります。結果、あわせて5人分の労働力が生れるというものです。

たとえば、大量の新卒社員の入社登録や保険業務手続き、住民税や、年末調整など年次業務における大量の登録、確認作業には増員が必要であり、比較的単純作業を切り出せます。これまでは社員の一時的増員やアルバイト採用などで対応してきた業務を、RPAにまかせる事で採用費や労働コストを抑制することが出来るわけです。

そしてもう一つ、成功のために忘れてならないことは、先ずは業務フローを変えずにRPAの対象業務を決める事です。「業務効率化、削減の為の業務フロー変更を着手しつつ、さらにRPAも導入しよう」。このように、二兎を目指す事になりますと、効果を出すことはおぼつきません。

人手不足の課題は続く

冒頭で申し上げた通り、国内の労働人口の減少は今後もますます加速します。各企業のリソース不足という課題は、今起きている一時的なものではありません。事業拡大に合わせて、業務量も増えていったとき、必要な人材を確保できないという事態は目の前に迫っており、どの企業においても起こり得ることです。

いつか対応策を考えようとしているうちに、1年、2年が経ってしまいます。リソースの課題は人事部門のミッションでもあります。どうか早いうちに課題解決に着手され、事業に必要なリソースの供給ができる人事部門であっていただきたいと思います。

弊社の人事労務支援事業部では、お客様の人事部門のRPA導入のご支援も行っております。RPAのご導入にお困りごとがあればお気軽にご相談くださいませ。

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