当社の人事システムに360°サーベイ機能を搭載して以来、
Web上で簡単に360°サーベイを実施できるためか、そのお問い合わせやご発注が増えてきている。
昔から360°サーベイは、管理職を対象に、昇格するタイミングや、
自身を振り返ることを目的に1年に1回以上の実施を制度化している企業も多い。
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そもそも360°サーベイはどんなことを目的として実施するのか。
一番多いのが管理職自身に気付きを促すために実施するもの。
「360°」という名が示すとおり、管理職本人を取り巻く様々な立場の関係者の人が、どうその管理職を見ているのか。
複数の設問にそれぞれの立場から回答する。それらを比較することで、
管理職自身の認識と一致していること、一致していないことを複数の目線と論点で発見できる。
サーベイの対象者としては、上司、同僚、部下というパターンが多いが、場合によりクライアントが加わると全方位となる。
結果は、特に部下のものを重視。なぜなら、部下を持つ管理職の仕事の70%は部下の支援だからだ。
部下と自身の認識の違いがわかることで期待できる効果は以下のようなこと。
大きく「仕事軸」と「人軸」のカテゴリーで分析することにより、
どちらの軸が強いのか明らかとなり、強みや弱みを理解して、マネジメント力を向上することができる。
(更に、様々な立場の人からの結果であれば、その影響内容も確認できる。)
結果から自身の職務行動について、新たな気付きを得て、自身の行動を変えようというモチベーションが生まれる。
一般的に評価は直属の上司が決める。
部下からどう見えているか、なかなかダイレクトに聞く機会は無い。
(評価をする人に対し、率直にモノが言える部下は少ない。当たり前だが。)
これがわかること、つまり、部下から何が期待されているのか把握できることで、
相互の理解が進みより深いコミュニケーションが成立し、高いパフォーマンスの組織作りにつながる(はずだ)。
タイトルである『一歩進んだ360°サーベイ』とは、この3つ目の期待効果を狙うこと。
一般的に、360°サーベイ結果をフィードバックされた管理職は、
自己評価で強みだと思っていることが部下からの評価では低かったりして、多かれ少なかれ傷つく。
また、逆に自身が弱点だと思っていたところが高い評点であれば
「そうか、自分はこんなところに強みがあったのか!」と嬉しくなる。
ただ、多くの場合は、部下の評価は手厳しく、「えー、ここまでひどくないはず…。」となる。
そして、そのあとは必ずこう思う。「誰だ、こんな低い評価をしたのは…!」
(読者の皆さん、あなたの上司の管理職はこんな気持ちなるのですよ。
結果にびくびくしたり、怒ったり、がっかりしたり。複雑な感情がうずまくわけです。)
だが、いったん怒ったり、がっかりしたりしても無理をしてでも切り替えなければならない。
この結果から、自身のマネジメント上の特徴を理解し、課題を発見し、もっと良くしていくために
「何をしようか?」「どうしようか?」と考え始める。これは前述の1,2にあたる。
しかし、難しいのは3だ。
360°サーベイの結果を部下に開示して、
「自身の評価と部下の評価にこれだけの差があった。」と言うことができるかどうか。
部下は上司である管理職の自己評価と部下の評価にギャップがあることを知らない。
だからこそ、上司が自身をどう自己評価しているか開示してほしいと思っている。
そして、このギャップについてどう考えているか腹を割って話してほしいとも思っている。
それも、安心できる環境で。
(評価する立場の上司に、思ったことを思ったとおりに発言することなど、飲んでいる席でもそうそうできるものではないからね)。
「部下を支援すること」が管理職の仕事の70%を占める。
この現実を踏まえ、相互理解を深めるコミュニケーションツールとして360°サーベイを活用する。
その効果は絶大だ。自己理解にとどめ置くのはもったいない。
とは言え、これまでの経験で、3まで徹底的に実施したクライアントはわずか数社しかない。
それらのクライアントの特徴は、概して組織の風通しが良いこと。
つまり、トップのリーダーシップが比較的浸透しており、細かい問題はあるにしても、
組織間、縦横とも信頼関係が成立しているケースがほとんどだ。
「ニワトリが先かタマゴが先か」どちらが先かわからないが、人事の担当者の方は是非、
管理職本人の気付きだけでなく、風通しの良い強い組織を作ることを第一歩として、
お互いの相互理解を深める360°サーベイの活用にチャレンジしてほしい。
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